健康経営優良法人認定制度とは(経済産業省)

健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。
本制度では、規模の大きい企業や医療法人等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業や医療法人等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門により、それぞれ「健康経営優良法人」を認定しています。

認定基準

健康経営優良法人の評価基準は、経済産業省が事務局を務める次世代ヘルスケア産業協議会健康投資ワーキンググループにおいて定められました。
評価項目は、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」で用いている評価のフレームワークをもとに設定されています。
また、健康経営優良法人の認定については、次世代ヘルスケア産業協議会健康投資ワーキンググループの議論に基づき、日本健康会議に設置される予定の健康経営優良法人認定委員会において申請内容の審査及び認定が行われます。

健康経営優良法人に認定されると

ロゴ画像のデータは経済産業省へお問合せの上、直接お受け取りください。

「健康経営の企業価値」への寄与

従業員のメンタルヘルスと利益率との関係

  • 経済産業研究所の研究プロジェクト(黒田・山本)により、従業員規模100人以上の451企業に対し、メンタルヘルスの不調が企業業績に与える影響を検証。
  • メンタルヘルス休職者比率の上昇した企業は、それ以外の企業に比べ、売上高利益率の落ち込みが大きい。

グラフ:メンタルヘルス休職者比率と利益率の関係

(出所)RIETI Discussion Paper Series 14-J-021 「企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績」-企業パネル データを用いた検証- 黒田祥子(早稲田大学)、山本勲(慶應義塾大学)

<出所>平成29年9月経済産業省ヘルスケア産業課 健康経営度調査説明会資料より

健康経営への投資に対するリターン

  • J&Jがグループ世界250社、約11万4000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算。
  • 健康経営に対する投資1ドルに対して、3ドル分の投資リターンがあったとされている。

図:健康経営への投資に対するリターン

(出所)儲かる『健康経営』最前線」ニューズウィーク誌2011年3月号を基に作成

<出所>平成29年9月経済産業省ヘルスケア産業課 健康経営度調査説明会資料より

健康経営の効果① 健康経営と業績の関係性(平成29年度調査の結果)

  • 東京大学等が、土木建築業種の大企業23社に対し、健康経営度調査を実施するとともに、健診・レセプトデータ (過去3年分)を突合。
  • 健康経営度調査結果の中央値で高スコア群と低スコア群の2群に分け、医療費、各種リスクとの関係性を分析。
  • 年間医療費平均、メタボ該当率、喫煙リスク者率、空腹時血糖値リスク者率、脂質異常症リスク者率、血圧リス ク者率において、高スコア群が低スコア群をいずれも下回る結果が得られた。

図:健康経営の効果・健康経営と業績の関係性

リスクの割合は、健康経営度調査に回答した企業個社ごとに、特定健診を受けた者のうちリスク者が占める割合を算出し、高スコア群企業、低スコア群企業の中で平均化したもの。
<出所>平成29年9月経済産業省ヘルスケア産業課 健康経営度調査説明会資料より

健康経営の効果② 健康経営と労働市場の関係性(平成29年度調査の結果)

就活生及び就職を控えた学生を持つ親に対して、健康経営の認知度及び就職先に望む勤務条件等についてアン ケートを実施。就活生は「福利厚生の充実度」・「従業員の健康や働き方への配慮」との回答が4割を超え、親では 「従業員の健康や働き方への配慮」・「雇用の安定」が4割以上を占める結果となった。「従業員の健康や働き方へ の配慮」は就活生・親双方で特に高い回答率であった。
併せて、就活生が親の意見を参考するか否か調査したところ、7割が考慮すると答え、就職先を検討する上で親 が持つ企業イメージ・情報が重要な要素を占めることが分かった。

図:健康経営の効果・健康経営と労働市場の関係性

活生のN数1399、親のN数1000における複数回答数を就活生、親それぞれで百分率にして比較
<出所>平成29年9月経済産業省ヘルスケア産業課 健康経営度調査説明会資料より

過去の選定企業からの声

1.投資家等への情報発信

就活生向けの会社案内資料に健康経営銘柄の選定を盛り込んだほか、有価証券報告書、CSR報告書や社内報に記載するなど、社内外や投資家に向けて打ち出し
名刺やHP、会社紹介冊子等に取組を紹介し、取引先等に選定結果をPR
健康経営の取組に関する取材が増え、メディア露出の機会が増大。また、役員による講演も多数依頼されるようになった。

2.社内における行動変容

経営トップによる取組強化の指示などが発信され、健康増進計画や社員参加型の健康増進プログラムの拡充を図っている。
(銘柄を継続して取っている企業においても)新たな取組を実行
健康増進に関する中長期計画策定や健康経営推進組織の設置を行った。
各事業所で取り組むアクションや目標を継続して実行できており、健康経営が習慣化した

3.社内外の反響

学生の認知度が向上し、就活生が大幅に増加したり、内定後辞退率が減ったりした優秀な人材の確保につながっている。
取引先やその他の企業から、高く評価してもらえた。取組に関する多数の問合せがある。
投資家から「中長期的な成長が見込まれる」と高い評価をもらった
銘柄を取得した他企業との情報共有を通じ、他業種との繋がりのきっかけとなった
<出所>平成29年9月経済産業省ヘルスケア産業課 健康経営度調査説明会資料より