傷病手当金請求書
被保険者が療養のため就労不能の際は「待期」を完成して1日毎に標準報酬日額の2/3相当額を支給します。支給期間は同一の疾病又は負傷及びこれによって生じた疾病については最長1年6か月となります。健康保険法ではこのように傷病手当金を定め、以下に喪失後の受給、各種の併給などを規定し、政令で対象を具体的に指定しています。ここではとくに事業所での手続に関係の深い部分に要点を置いています。
待期の完成
連続3日間の休業後、4日目から支給開始。
Bの場合、4日目に出勤しても待期が完成しているので5日目から支給可能(5日目から待期のカウントを繰り返す必要はありません)。
待期期間は年休・欠勤のいずれの取扱いでも就労不能が続けば完成します。
業務上外の問題
傷病手当金に限らず健康保険の保険給付は業務外のみです。労災補償の対象になるものは傷病手当金を支給できません。実際には判定が難しい場合がありますが、そのような場合でも必ず事業所で労災に該当しないか審査のうえ、業務(通勤災害含む)外の場合のみ申請してもらってください。
出産手当金との併給調整
まれに期間が重なり合うこともありますので、詳細は出産手当金の項を参照してください。
喪失後の受給
資格喪失時点で現に傷病手当金の給付を受けていたか又は受給要件を満たしていたが受給していなかった方は資格喪失に関わらず受給を継続できます。但し、被保険者資格が継続して1年以上あった方に限ります。
報酬との併給調整
報酬との併給調整報酬が支給されるときは原則として傷病手当金は支給不可となります。報酬が手当金の額を下回るときはその報酬との差額だけ支給します。年次有給休暇取得期間は傷病手当金を支給できません。
障害年金・障害手当金との併給調整
上記年金・一時金についても原則として併給不可となります。但し、それらの給付額が傷病手当金を下回る場合は差額を支給します。
資格喪失後の継続受給者
障害年金だけでなく老齢又は退職を事由とする年金についても併給不可となります。対象となる期間の年金などの受給額(日額は年額の1/360)が傷病手当金を下回る場合は差額のみ支給します。但し、調整対象の年金は施行令で限定列挙されており、厚生年金基金の独自・任意部分の給付などは対象になりません。一方、特別支給の老齢厚生年金(部分年金)と雇用保険との間の受給は併給不可と定められています。傷病手当金の支給は部分年金支給停止中であっても雇用保険の受給状況を確認し、併給調整の趣旨(一つの給付で生活保障が満たされている)に沿って、実態に即した判定をします。
治癒、再発の判断と支給期間、支給回数の数え方
受給期間の後に就労し、相当期間経過後に再び就労不能となった場合の支給期間の捉え方は以下の通りです。
治癒の認定は保険者が医学的判断、社会通念、症状経過、就業状況などを踏まえて行ってください。
療養の状況 | 支給期間1年6か月の起点 | 待期の完成 |
---|---|---|
同一の疾病などが治癒して再発 | 再発後の支給開始日より (別個の疾病と見做なす) |
再発後新たに適用 |
同一の疾病などの療養が続く | 第1回の支給開始日より起算 | 既に完成(適用しない) |
別個の疾病など | その疾病の支給開始日 | 新たに適用 |
添付書類
1 | 年金受給中でも上記のように差額支給が可能な場合は年金証書写並びに直近の同支払通知書など |
2 | 労務に服さなかった期間中の「出勤簿の写」「賃金台帳の写」 |